木造建築のメリット

2014/12/07|SE構法 // SE構法関連の情報・コラム // ブログ // 木造建築や中・大規模建築物について

木造建築のメリット
このページでは木造建築について、国の施策から木造のメリットなど詳細に至るまで説明しています。

近年では国も木造建築の普及に力を注いでおり、様々な法律が制定されています。

『公共建築物等木材利用促進法の制定(H22.10.1施行)』のなかには、「国または地方公共団体が整備する全ての建築物、民間事業者などが整備する施設(学校、老人ホーム、保育所、福祉ホームなどの社会福祉施設、病院または診療所、体育館、水泳場などの運動施設、図書館、青年の家などの社会教育施設、鉄道の駅など公共交通機関の旅客施設、高速道路サービスエリア等の休憩所)」について、木材の利用を促進すべき公共建築物と定めています。

これは、戦後に植えた木が活用期を迎えているのにも関わらず、国内の木材自給率が極端に低いということに国が危機感を持って対応しているといえるでしょう。

地球上の有限な資源と持続可能な社会に必要な木造建築

木造で整備を行った公共建築物

地球上にある資源は、無尽蔵でも無限なものでもありません。世界中の人々がそのことに気づき、環境意識の高い人々は持続可能な社会を築くためにいろいろな取り組み、努力をしています。

では、建築はどうでしょうか。

鉄骨やRCで造る建築は解体されればリサイクルできない廃棄物となってしまいますが、解体後もう一度部材を使いなおすこともできる木造建築は持続可能な社会に必要な建築資材ではないでしょうか。

鉄やコンクリートは有限の資源ですが、木は再生産が可能な循環型資源なのです。「伐る→植える→育てる」という森林のバイオマス(循環サイクル)の中で、成長しながらCO2を十分に吸収しきった木を伐採し、建築資材として利用する。

その後、新しく植えて育つ木がまた成長しながら、またCO2を十分に吸収するというように、持続可能な資材と言えるでしょう。

このように木造建築は、現代の社会的背景からも求められているのです。

このような背景の下、国はこの10年で木材自給率を10倍に上げるという目標を掲げています(2013年 森林・林業白書より)。

これは国からも木造建築の促進に向けて後押しがあるという事です。

さらに、『都市と低炭素化との促進に関する法律(H24.12.4施行)』には、地球温暖化対策として地球温暖化対策として低炭素建築物であると市町村等に認定されると、所得税等の軽減や、設備に係る部分の容積率の不算入といった特例を受けることが可能になっています。

このように木造建築は、空間の美しさと構造的な強さを兼ね備えるだけでなく、現在そして将来において社会的にも適正であると認められていることにより、国や法律にも後押しされ、近年木造建築が選ばれることが多くなってきているのが現状です。

木造建築のメリット

林野庁の調べでは、日本の建築物全体の木造率は4割もあるそうです。木造が選ばれている理由は何でしょうか。建築材料としての木、室内環境としての木、構造体としての木造建築のメリットをそれぞれ見ていきましょう。


木の調湿性

木造建築の調湿性
室内の空気が乾燥してくると、木は蓄えていた水分を空気中に放出します。逆に梅雨のような湿気の多い時期には空気中の水分を吸収するので日本の気候風土に合っているといえるでしょう。


断熱性

建築材の熱損失比較
機に触れると寒い室内であっても冷たく感じないと思いますが、それは木の熱伝導率が小さいこと(熱を伝えにくい性質)によるものです。断熱性にも大変優れています。それは鉄やコンクリートの熱伝導率と比較すれば一目瞭然です。

木の熱伝導率は、コンクリートの約15分の1から20分の1、鉄ではなんと300分の1を下回ります。つまり、熱を伝えにくいということはそれだけ断熱性が高いことを意味しています。RCに比べて木造建築が冬暖かく、夏涼しく過ごしやすいのは木の持つ断熱性のためです。


耐火性

木造建築の断熱性
木は燃えやすいと考えられていますが、太い柱や針は30分間火にさらされても表面は焦げても中身は残るので、その間に非難できます。火災の際に躯体の耐力が低下して崩れ落ちる事に注目すると、実験などから木材は鉄骨より丈夫といえます。また防火扉なども鉄製ではすぐに曲がってしまい、触ることも開ける事もできなくなります。木製の棒かどなら、防火の役割と同時に、原型を届けているので蹴破ったりすることも可能です。このようなことから木造は火災時の安全性が高いとも言われています。


木造建築の資産性

木造建築の減価償却年数
たとえば鉄骨造の耐用年数は34年(肉厚4mm以上)に対して木造は22年です。22年で償却しなければならないので、年間の償却額(経費)が大きくなり、節税対策としてのメリットが生じます。しかも耐用年数が22年というのは税法上定められた年数であり、現代の木造建築では、メンテナンスを適切に行うことにより更に長期に使用が可能です。また、改修や解体時にもRC造や鉄骨造に比べると工事費は安くなるので投資用不動産としての資産性は長期に持続されることになります。


木造建築の安全性

木は何千年も生き続ける強い生命力を持ち、伐採後も育ってきた年月と同じだけ生き続けるといわれています。その驚異的な寿命は、世界最古の木造建築である法隆寺を見ても分かります。このように、製造されたときから劣化が始まる身気質の鉄やコンクリートに対して、木は伐採後も強度が維持されます。たとえば、ヒノキは伐採されてから200年の間は曲げや引張強度が少しづつ増大し、その後1000年かけて元の郷土に戻ることが法隆寺の柱から確認されています。


【経済性】
木造建築の重量と基礎
木はRCや鉄骨と比べて部材そのものが軽いということや、それにより工期短縮が望めるので、他の構造よりコストを抑えることが可能です。

例)鉄骨造との比較
躯体工事費・・・約10%ダウン
基礎工事費・・・約20~40%ダウン
地盤対策費・・・約30~50%ダウン
解体工事費・・・約20~30%ダウン


木造建築の歴史

木造の寺社仏閣建築

木造建築は意匠的にも社会的にも環境に対しても優れているものです。さらに日本の木造建築の歴史として、伝統工法では世界最大の木造建築である東大寺や、世界一高い仏塔である東寺の五重塔があります。

この歴史をみても材料と技術が確かであれば、木造建築は決して他の構造に比べて弱いわけではありません。

むしろ、日本の風土に合っむしろ、日本の風土に合った、日本人に昔から愛され続けている構造であり、日本で建てる建築として適していることが分かります。

ではなぜ現在、小規模な住宅以外の木造建築が日本の中でそれほど多く建てられていないのでしょうか。

そこには、災害やその後の法律などにより、木造は弱いものという間違ったイメージが一時定着した歴史がありました。日本では古くから数々の台風や震災での木造被害が多くありました。

こういった被害の原因としては、メンテナンスのされていない木の部材の腐食であったり、適切な計算をされていない部材を使用していたりと、木造建築そのものが原因ではないことが多くありました。

本来ならば、木造で火や地震に強いものを造る努力をするべきでしたが、建築基準法では一時、「一定規模以上の建築物は木造としてはいけない。」と明記されていました。

このようなことから、世間一般の人達に、木造は弱い構造だという間違った認識が根強く残った一時期があったのが実情です。

東大寺大仏殿の寄木

現在多くの木造建築で使われている集成材の歴史を見ていくと、10世紀ごろに仏像の制作において寄木造りという、現在の集成材の先駆けとなる手法が生まれていました。

この寄木造りは2つの木材を繋ぎ合わせて、一木造りの仏像ではどうしても避けられない干割れを防ぐための工夫といわれています。

日本の社寺建築や城の天守閣等では、何本もの縦通し木材を鉄のたがや鋲でしめて1本の材とし、柱や桁に使われた事例が日本各地にあり、集成材と同様の特徴を持った工法といえます。

たとえば18世紀、東大寺大仏殿の再興(1709年)の際に柱の部分に材を寄せ集めてニカワで接着し、鉄の銅輪で締めつけた大口径材をつくりあげています。

日本の集成材の歴史が本格的に始まったのがこの東大寺大仏殿の再興の際といわれています。

東大寺大仏殿の再興から300年以上が経過し、改めて木材・集成材の耐力が示されている事が実証されています。

ただ、このような施工技術者の減少が問題視されたり伝統工法に対しては構造的な弱さが指摘されていることも事実です。

様々な災害の際、在来工法と呼ばれる木造建築物のなかには半壊や全壊している例も多くあります。

ですが、そういった災害を経験しながら、木造建築の構造において様々な研究がなされてきました。

その結果、木造建築でも構造計算が行われRCや鉄骨造のようなラーメン構法を木造で実現する建築技術が可能となってきているのです。

そして集成材やプレカットの技術の発展などにより、熟練の職人ではない場合でも施工のしやすい部材づくりなどの工夫がなされており、構造、施工の両面から見ても木造建築は進化を続けているのです。

まとめ

木造建築のメリットというテーマで、木の使用実態から国の施策、木の優位性とその歴史を見てきましたがいかがでしたでしょうか。耐火性、耐久性から経済性まで様々なメリットを持つ建築材として、木にはたくさんのメリットがあります。

建築計画の際に、是非これらの要素を加味して構造体を選ぶ指標として頂ければと思います。


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